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車両管理責任者とは?
業務内容や安全運転管理者との違い、賠償責任保険について解説

公開日:2024年9月30日

車両管理責任者とは?業務内容や安全運転管理者との違い、賠償責任保険について解説

会社で事業用の車両を保有している場合、「車両管理責任者」や「安全運転管理者」といった車両の運用・管理の責任者を選任していることが一般的です。車両を適切に管理するためには、車両管理責任者の業務内容・重要性について理解を深めておくことが大切です。

車両管理責任者とは

車両管理責任者とは、会社が保有する車両(以降、社用車)やその車両を運転する従業員を管理する責任者のことです。社用車に関するコストの管理や事故防止対策、プライベート利用の防止対策など、社用車の適切な運用・運行に関わる幅広い業務を行います。車両管理責任者の選任は義務ではなく、特に資格なども必要ありません。

安全運転管理者とは

安全運転管理者とは、社用車における安全運転の推進や事故防止のために選任される管理者のことです。道路交通法で定められている「安全運転管理者制度」において、一定台数以上の自動車を使用する会社や事務所に対して、安全運転管理者の選任が義務付けられています。

車両管理責任者の業務内容

車両管理責任者は、社用車の運用・管理に関わる幅広い業務を担います。車両管理責任者の主な業務内容は以下のとおりです。

車両管理台帳や各種記録の管理

車両管理台帳とは、社用車の使用状況や自動車保険の加入状況を管理するための書類です。そのほかにも、運転日報やアルコールチェック表などの書類の管理も行います。これらの書類は車両や運転の状況、ドライバーの状態などを管理するために必要なものです。

車両の整備・点検

社用車の故障や事故を防ぐために、定期的な車両の整備・点検を実施するのも車両管理責任者の役割です。車両管理責任者は、車両番号や車検日、点検実施日など社用車に関する情報を台帳に記録し、適切に管理します。整備・点検のスケジュールを決め、安全に走行できる状態を維持する必要があります。

車両の使用許可

車両管理責任者は利用目的や行き先を確認したうえで、車両の使用許可を出す場合もあります。社用車の鍵も車両管理責任者が管理し、使用許可を出す際に従業員に手渡します。車両を適切に管理することで、プライベート利用による事故やトラブルのリスクを減らすことが可能です。

コスト管理

社用車に関連するコスト管理も車両管理責任者の重要な役割です。保険料や車検費用、ガソリン代など社用車に関連する各種費用を把握し、ムダがないか確認して、削減できるコストがあれば適切な措置を取ります。

ドライバーの運転状況の把握および指導

車両の管理だけでなく、ドライバーの運転状況の把握や指導も車両管理責任者が担う場合があります。安全運転管理者が置かれている会社では、これらの業務は安全運転管理者が行いますが、その場合は車両管理責任者が安全運転管理者の業務が適切に行われているかチェックします。

車両管理責任者の重要性

責任者を置いて社用車を適切に管理することは、会社のリスク管理やコスト削減のために重要です。特に以下3つの点において車両管理責任者は重要な役割を果たします。

1, 事故リスクの回避

事故を起こすと、車両そのものや従業員のケガなどによるダメージはもちろん、相手の方へ被害が及ぶ場合もあり、その場合は損害賠償を請求される可能性もあります。会社の信用に影響することもあるので、事故リスクを回避することは健全な経営を行ううえで非常に重要です。

車両管理責任者には、運転日報などの管理や車両の整備・点検、ドライバーの運転状況の把握・指導を徹底し、事故リスクの回避に努めることが求められます。また、社用車を使用するにあたって、法令を遵守して安全運転に努めることは、CSR(企業の社会的責任)を推進することにもつながります。

2, コスト削減

車両管理台帳には自動車保険の保険料や車検費用、ガソリン代などの社用車に関わる費用も記録されます。車両管理責任者は台帳を適切に記録・確認して、社用車に関する費用の削減に努める必要があります。

運転日報などの記録を確認することで、走行ルートのムダや、長時間のアイドリングを発見することも大切です。また、日々の運行状況をチェックすることで、保有台数の見直しやカーリースの検討なども、コスト削減につながる重要な業務です。

3, プライベート利用の禁止

従業員が社用車をプライベートで利用していて事故を起こした場合、会社が管理責任を問われたり損害賠償を請求されたりする可能性があります。そのため、車両管理責任者が利用目的や行き先を確認して社用車の使用許可を出すことはリスク管理において重要です。

また、従業員が勝手に社用車を利用できないよう、社用車のカギの管理も車両管理責任者が行うと効果的です。

車両管理責任者と安全運転管理者の違い

車両管理責任者と安全運転管理者は、業務内容や必要性などの違いを把握したうえで適切に選任することが大切です。両者の主な違いは以下のとおりです。

車両管理責任者について

車両管理責任者の主な業務内容は、安全運転管理者と同様に社用車の安全運転に関わる業務となりますが、法律で選任が義務付けられているわけではなく、企業や事業者が任意で置いている責任者です。責任者の要件や資格も定められていません。

安全運転管理者について

以下の要件に該当する会社や事業所では、安全運転管理者の選任が義務付けられています。

  • 乗車定員が11人以上の自動車 1台以上
  • 自家用自動車 5台以上

また、社用車の台数が20台以上になると安全運転管理者に加えて、副安全運転管理者の選任も必要です。副安全運転管理者の業務内容は基本的に安全運転管理者と同じで、安全運転管理者を補助する役割があります。

安全運転管理者は誰でもなれるわけではなく、下表のとおり年齢や実務経験の要件が定められています。

安全運転管理者 副安全運転管理者
年齢 20歳以上
(副安全運転管理者を置く場合は30歳以上)
20歳以上
実務経験
(自動車の運転の管理に関するもの)
2年以上 1年以上

参照:安全運転管理者制度の概要(警視庁)

安全運転管理者について詳しくは、安全運転管理者とは?選任方法や業務内容、罰則について解説をご覧ください。

自動車管理者賠償責任保険とは?

自動車管理者賠償責任保険とは、駐車場や修理工場で自動車をお預かりする事業者向けの保険商品です。(自動車保険とは異なります)お預かりした第三者であるお客さまの自動車を保管・整備している間に、損傷や盗難などの損害を与えてしまった場合に賠償費用などが補償されます。「車両管理責任者」を対象とした保険ではないため、混同しないように気を付けましょう。

自動車管理者賠償責任保険の対象者

自動車管理者賠償責任保険に加入できるのは、主に以下の業種に該当する事業者です。

  • 自動車修理業者(自動車整備工場やディーラーなど)
  • 駐車場を管理している事業者

このように、第三者の自動車の保管責任がある事業者に限られています。ただし、管理人が常駐していない時間貸駐車場や月極駐車場のように、駐車のための場所のみを提供している駐車場は、駐車場側に保管責任がない場合が多く、当保険の対象とならないことが一般的です。

自動車管理者賠償責任保険の補償内容

自動車管理者賠償責任保険の主な補償内容は下表のとおりです。

損害賠償金

法律上の損害賠償責任に基づいて請求される修理費用や再調達費用など

緊急措置費用

事故発生時に、損害を防止・軽減するために発生した費用(法律上の損害賠償責任がない場合)

損害防止費用

損害の発生や拡大防止のために支払った費用

権利保全費用

損害賠償を受ける権利の保全・行使のために支払った費用

訴訟費用

損害賠償責任に関連する訴訟費用や弁護士費用など

協力費用

保険会社が解決に向けた対応を行う場合、その協力に応じたことで発生した費用

保険会社によって商品名称や補償範囲が異なる場合があります。

このように、自動車管理者賠償責任保険は自動車修理業者や駐車場管理者向けの保険であり、それ以外の業者は加入できないので注意しましょう。

まとめ

車両管理責任者と安全運転管理者はどちらも社用車やドライバーに関する管理を行うものの、業務内容や法律上の必要性・要件などが異なります。どちらも社用車を使用するにあたって重要な役割を果たすので、違いを把握したうえで適切に選任することをおすすめします。また、自動車管理者賠償責任保険は、車両管理責任者や安全運転管理者とは関連のない保険となりますので、混同しないようにご注意ください。

営業車として社用車を保有している場合は、ぜひ法人向け自動車保険の加入を検討しましょう。

アクサダイレクトの法人向け自動車保険

監修者 佐藤 寿美礼

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP(日本FP協会認定)

監修者 佐藤 寿美礼

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP(日本FP協会認定)

2016年からフリーランスとして活動。金融や投資、税金、保険、住宅ローン、不動産、社会保障制度など、「お金」関係の記事を中心に編集や執筆をしています。子どもの大学進学やマイホーム購入などをきっかけに、お金の管理に興味を持ち、投資や保険、法律などを勉強中です。

執筆者 鈴木 靖子

AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

執筆者 鈴木 靖子

AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

銀行の財務企画や金融機関向けコンサルティングサービスに10年以上従事。
企業のお金に関する業務に携わる中、その経験を人々の生活に生かすためFP資格を取得。
現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆・監修や相談業務を中心に活動中。

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記載の情報は2024年9月時点の内容です。

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