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社用車の自動車保険、入ってないとどうなる?
万一の事故に備えて補償や責任について知っておこう

公開日:2024年9月30日

社用車の自動車保険、入ってないとどうなる?万一の事故に備えて補償や責任について知っておこう

社用車を運転する際に気になるのが、事故を起こしてしまった場合の補償や誰が責任を負うのか、ではないでしょうか。特に、マイカーを所有しておらず、個人で自動車保険に加入した経験がない方は不安が大きいかもしれません。法人向け自動車保険の役割や補償範囲、万一の際の対応方法や責任の所在について解説します。

社用車による事故を補償する保険とは?

人身事故においては原則、法人で任意保険に加入していない場合でも、相手方に対し自賠責保険(強制保険)によって一定額までの補償が可能となります。

自動車損害賠償保障法という法律に基づき、すべての自動車は自賠責保険・共済に入っていなければ運転することはできず、車検を受けることもできません。この自賠責保険とは、交通事故被害者の救済を目的とした保険で、事故で相手が死傷した場合に保険金が支払われます。保険金の上限は、死亡時の補償3,000万円、ケガの場合は120万円となります。人身事故のみが対象となるため、事故の相手の車などモノに損害を与えた場合や、運転者ご自身がケガをした場合、ご自分の車が壊れた場合などは補償されません。そのため、自分自身や財物(モノ)に対する補償を受けるためには自動車保険(任意保険)に加入する必要があります。

法人向け自動車保険の補償範囲

任意保険の法人向け自動車保険では、誰が運転していても補償対象となるのが一般的です。法人向け自動車保険は、法人名義での契約となり「誰が運転していても」補償の対象となるように運転者の範囲を限定せずに契約している会社が多いためです。ただし、契約内容によっては運転者の年齢に制限がある場合も存在します。

法人向け自動車保険の主な補償範囲は、基本的には個人向け自動車保険と同じです。事故の相手方への賠償やご自身・搭乗者など、ヒトに対しての補償と、お車や財物の損害など、モノに対して補償をします。

法人向け自動車保険の主な補償内容

自動車保険の補償内容は、基本補償と選べる補償(特約)があります。主な補償となる「基本補償」について、それぞれ解説します。

人に対する補償(対人賠償保険・人身傷害保険など)

対人賠償保険とは、自動車事故で他人を死傷させた場合の医療費や慰謝料、休業損害など、法律上の損害賠償責任を補償する保険です。例えば、社用車を運転中に歩行者と接触し、その歩行者にケガを負わせた場合、補償の対象となります。対人賠償保険では、自賠責保険から支払われる金額を超える部分に対し保険金が支払われます。また、自動車事故による賠償金額は億を超える高額事例もあるため、対人賠償保険の保険金額は「無制限」にしておくと安心です。

人身傷害保険とは、自動車事故で自分や同乗者が死傷した場合の医療費や精神的損害(慰謝料)、休業損害などを補償する保険です。例えば、社用車での事故により、運転していた社員が負傷した場合、補償の対象となります。過失割合に関わらず補償されるため、示談解決を待たずに保険金を受け取ることができます。

財物(モノ)に対する補償(対物賠償保険・車両保険)

対物賠償保険とは、事故で他人の財物(モノ)に損害を与えた場合の修理代やレンタカー代など、法律上の損害賠償責任を補償する保険です。例えば、社用車で他人の車に追突し、相手方の車の修理が必要になった場合、補償の対象となります。前述のとおり、自賠責保険の補償範囲は「人」への賠償に限られます。そのため、高級車やガードレール、店舗などに損害が発生した場合、賠償金額は数千万から億を超えるケースもあるため、保険金額は「無制限」に設定することが推奨されます。

車両保険とは、接触、衝突などにより契約車両に損害が生じた場合の修理代を補償する保険です。例えば、社用車を運転中に他人の車と接触し、社用車のバンパーが破損したような場合、補償の対象となります。

「相手方への賠償」と「自社側・社用車への補償」の観点からも法人向け自動車保険で備えておくと安心です。

補償の対象 ケガ・死亡 車・モノ
相手方への補償
  • 対人賠償保険
  • 対物賠償保険
自社側への補償
  • 人身傷害補償特約
  • 搭乗者傷害保険
  • 自損事故保険
  • 無保険車傷害保険
  • 車両保険

社用車を運転する前に確認・理解しておきたい
4つのポイントとは?

社用車を運転する際は、会社で加入する自動車保険の補償内容や就業規則、事故の際の対応方法など、事前に確認しておきたいことがあります。具体的にどのような点を理解しておくべきなのかを、それぞれ解説します。

1, 会社名義の自動車保険の補償内容

自賠責保険の補償と併せて、任意加入の自動車保険について、その補償範囲や内容をよく確認しておきましょう。例えば、対人賠償保険と対物賠償保険には加入しているものの、車両保険をセットしていない場合、自社で負担すべき修理代が発生した際、その一部を会社から請求される可能性があります。補償内容は保険証券に記載されていますので、保険証券の保存場所などを確認しておきましょう。

2, 就業規則

就業規則のうち、車両管理規程などの社用車の使用ルールは、業務を安全かつ円滑に進めるためにあります。特に、事故発生時の対応方法や私的利用に関する部分は、よく確認しておきましょう。

自動車事故に代表される社用車のトラブルでは、運転者だけでなく、会社もその責任を問われます。多額の損害賠償責任を負ったり、社会的な信用を失ったりするリスクがあることも想定しなければなりません。就業規則を確認し、規則を遵守することは、万一の際に適切に対処することだけでなく、トラブル自体を未然に防ぐことにもつながります。会社と社員の双方がルールを守り、事業の正常な運営を心がけましょう。

3, 事故や故障した場合の連絡先

事故や故障など、社用車を運転中にトラブルがあった際、誰に連絡すべきかを知っておくことで初期対応を迅速かつ適切に行うことができます。連絡する人や機関を把握するだけでなく、電話番号などの具体的な連絡先もすぐにわかるようにしておきましょう。例えば、事故の発生時は警察に通報するとともに、会社の上司や保険会社に連絡する必要があります。保険会社への通知は会社から行われる場合もあるため、誰がどのように対応するのが適切かを確認しておくことも必要です。

4, 社用車で事故を起こした場合の対処法と流れ

社用車に限らず、車を運転する人は事故の際の対応方法を理解しておかなければなりません。事故を起こしてしまった場合は、主に以下の流れで対処します。

  • 1.負傷者の確認・救護を行う
  • 2.119番・110番通報をする
  • 3.道路の危険防止措置をする
  • 4.事故の状況を記録する
  • 5.事故の相手と目撃者の氏名・住所・連絡先などを確認する
  • 6.会社に報告する
  • 7.保険会社へ連絡する

事故による負傷者がいる場合、その救護と119番通報が最優先です。交通事故であることを伝えると、消防署から警察へ通報がされるため、別途110番をすべきかどうかは消防署の指示に従うと良いでしょう。また、二次被害を防ぐため、ハザードランプを点滅させる、停止表示器材を使うなど、後続車へ事故を知らせる措置も重要です。なお、過失割合は双方の保険会社間で協議されるのが一般的です。事故現場で相手の方と賠償や過失について話をするのは避けましょう。

社用車での事故における責任について

万一、社用車で事故を起こしてしまった際、その補償や責任はどうなるのでしょうか。会社が問われる責任や、私用で社用車を使っていた場合の補償、誰が修理代を負担するのかについて解説します。

1, 社用車での事故における会社の責任

社員が社用車で事故を起こしてしまった場合、社員だけでなく勤務している会社にも責任が発生します。会社が問われる責任は、主に「使用者責任」と「運行供用者責任」です。

使用者責任とは、社員が業務中に事故を起こした場合、その社員が働く会社(使用者)にも責任があるという考え方、運行供用者責任とは、社用車の所有者や管理者(運行供用者)が、その運行によって生じた事故に対して責任を負うという考え方を指します。

社用車での事故による責任は、会社全体に影響を及ぼす可能性があるため、ルールを守って慎重に行動することが大切です。詳しくは、社用車で事故が起きたら誰が責任を負うのか?会社の対応方法を解説をご覧ください。

2, 社用車で事故を起こしたら、誰が修理代を負担するのか?

運転していた社用車が事故により破損した場合、修理代は車両保険でカバーされます。保険適用外のケースや車両保険をセットしていないケースでは、社員(運転者)に重大な過失がない限り、全額会社が負担するのが一般的です。また、たとえ社員に居眠り運転などの重大な過失があった場合でも、修理代の全額を社員に請求するのは難しいと考えられます。社用車の運行に関しては、会社と社員(運転者)は連帯して責任を負う立場にあるからです。過去の判例においても、会社が社員に修理代を請求して認められる割合は、おおよそ10~20%程度とされています。

なお、労働基準法では賃金全額払いの原則が定められているため、修理代を社員の給与から天引きすることはできません(あらかじめ本人の同意がある場合を除く)。また、飲酒運転などの悪質な不法行為による懲戒処分(減給、解雇など)を行う場合は、処分内容が就業規則に規定されている必要があります。

3, 私用で社用車を使用中に事故を起こした場合の責任と補償

事故を起こした社員本人に責任が発生します。また、会社が所有している社用車での事故である以上、運行供用者責任の観点から、会社にも責任が発生します。過去には、社用車の使用自体が業務と考えられ、その責任も社員だけでなく会社にも及ぶとされた判例もあります。そのため、社用車が契約している自動車保険では、私用目的であったとしても保険金支払いの対象となる可能性があります。ただし、会社の許諾性などによって支払い可否を定めている保険会社が多いため、社内ルールに沿って社用車の利用をするようにしましょう。なお、社用車の私的利用が禁止されているにも関わらず、勝手に使用した場合は業務上横領などの罪に問われる可能性があります。

4, 自家用車で加入している自動車保険で補償されるケース

マイカーを持っておりその車の自動車保険に「他車運転特約」をセットしている場合、保険会社によっては、稀にこの特約で補償するように指定するケースがあります。

「他車運転特約」とは、友人から借りた、帰省中に実家の車を借りたなど、プライベートの利用で一時的に運転する際のリスクをカバーするものです。しかし、社用車を運転する目的は、プライベートではなく業務用であると判断されることが一般的であるため、社用車での事故が自家用車の保険で補償できるケースは限られます。

5, 仕事で使っている自家用車で事故を起こした場合の補償

社用車ではなくマイカーで事故を起こした場合は、たとえ仕事のためであったとしても、マイカーを契約している個人の自動車保険で補償となります。たとえば、マイカー通勤が許可されており、通勤中に衝突事故を起こしてしまった場合、仕事へ向かうための使用ではあるものの、事故を起こしたのはマイカーであるため、個人の自動車保険を使うことになります。

ただし、会社がマイカー通勤や業務での使用を許可しているのであれば、会社にも使用者責任および運行供用者責任が発生するため、事故によって被った損害に対して法的責任を負う必要があります。社員の自動車保険で損害の全額が補償できたとしても、社員が加害者である場合は、企業には被害者へ謝罪するなどの対応が求められます。マイカー利用を許可する際は、就業規則でルールを定めるとともに、社員の自動車保険の補償内容が十分であるか確認をしておくと安心です。

カーリースで事故を起こした場合の保険について

リース契約の社用車の場合、リース料に自賠責保険料(強制加入)は含まれるのが一般的ですが、自動車保険料(任意加入)も含まれるかどうかは契約によります。自動車保険が付帯していないリース契約の場合、事故の際に自賠責保険の補償範囲しか適用されないため、別途、自動車保険への加入が必要です。

自動車保険が付帯されているリース契約は、月々のリース料に自動車保険料が含まれるので、コスト管理がしやすく、手続きの手間も軽減できるのがメリットです。一方、補償内容は自由に選択できないことが多く、会社で個別に加入する場合と比較してカスタマイズ性は下がります。また、リース会社で加入する自動車保険は等級が保険料に反映されないため、無事故でも保険料は下がらず、事故を起こしても保険料は上がりません。なお、リース契約の社用車で事故を起こした場合は、保険会社だけでなく、リース会社にも連絡する必要があります。

社用車は法人向け自動車保険の加入を検討しよう

社用車で事故を起こした場合、事故の状況や保険の条件によっては社員個人の責任が問われ、修理代などの負担が発生する可能性もゼロではありません。社用車による事故のリスクに備えて、きちんと法人向け自動車保険に加入しておくことが大切です。補償範囲や会社の就業規則をよく確認し、万一に備える姿勢を大切にしましょう。

アクサダイレクトの法人向け自動車保険

社用車の保険に関するよくある質問

監修者 吉田 奈央

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、一種外務員資格

監修者 吉田 奈央

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、一種外務員資格

大学卒業後、地方銀行、投資系コンサル会社を経て、2021年独立。金融機関や保険会社、不動産会社が運営するメディアを中心に、編集者として記事執筆や運営に携わる。お金や保険、不動産に関して『知らないだけで損をしてしまう人』を減らすべく活動中。

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