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犬の病気事典:筋・骨格系の疾患

先天性重症筋無力症

概要

犬の先天性重症筋無力症は遺伝的な疾患で、生まれながらに神経と骨格筋のつなぎ目(アセチルコリン受容体)に機能障害があり、若齢(1歳未満)で発症する非常に稀な病気です。通常、脳から「体を動かしなさい」という指令が出ると、脳から中枢神経を伝わり、末梢の神経から筋肉へアセチルコリンという物質が放出されます。それをアセチルコリン受容体で感じ取った筋肉が収縮し、身体が動きます。このアセチルコリンやアセチルコリン受容体に異常があると、神経から筋肉への指令が上手く伝わらなくなり、筋肉をしっかり動かせなくなります。この状態を重症筋無力症と言います。
重症筋無力症には先天性と後天性があり、遺伝的にアセチルコリン受容体が欠損したタイプを先天性重症筋無力症と言います。このタイプは若齢期から全身の筋肉が弱っていき、筋肉の麻痺によって残念ながら致死的な経過をたどる場合が多いです。犬では重症筋無力症自体が稀な疾患ですが、その中でも先天性は非常に少ない病気です。

症状

1歳未満で症状が出る場合が多く、発症した犬は疲れやすくグッタリとしています。歩き始めより歩き終わりの歩様が弱々しく見えます。重症化した場合は、全身の筋肉が痩せ、起立状態を保てず突然崩れ落ちるように倒れます。全身に麻痺が進行した場合、横になったまま呼吸をするのもやっとの状態になります。食道の筋肉に麻痺が起きると、食道の筋肉は伸びきった状態になります(巨大食道症)。この場合、食べた物は胃に流れず食道に溜まってしまい、突然食べ物や水を吐く(吐出)場合があります。容易に気管に吐物が流れてしまい、誤嚥性の肺炎を起こし、発熱し、咳や呼吸困難を起こすことがあります。

対象

先天的な重症筋無力症の好発犬種としては、ジャック・ラッセル・テリア、スプリンガー・スパニエル、スムース・フォックス・テリアが挙げられます。後天性の病気よりも発症時期が早く、若齢(生後1歳未満)で発症する場合が多いです。

予防、治療

予防法は、決定的なものはありません。症状を見逃さず、早めに専門家に相談しましょう。
治療としては、残念ながら完治が期待できるものはありませんが、コリエンステラーゼ阻害薬によってアセチルコリン分解酵素をおさえることで、神経と筋肉の伝達機能をアップします。二次的に誤嚥性肺炎を起こした場合は、そちらに対しての治療も並行して行います。

監修

白神 久輝 先生

埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主の方にもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。

「病気事典」には「アクサダイレクトのペット保険」の補償対象外の病気も掲載されていることがあります。

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