2019/04/16

教えて獣医さん!猫のアレルギー性皮膚炎はどうすれば良くなる?

2019/04/16

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 愛猫がひどく体を痒がっていたり、皮膚に湿疹や炎症が見られたりしたら、その原因はアレルギーかもしれません。猫のアレルギー性皮膚炎の種類や症状、治療法について、獣医師の三宅先生にうかがいました。

猫がアレルギー性皮膚炎になる原因は?

—猫のアレルギー性皮膚炎には、どのような種類があるのでしょうか?

 猫のアレルギー性皮膚炎の原因として多いものは、「食物アレルギー」「ノミアレルギー」「アトピー様皮膚炎(アトピー性皮膚炎)」の3つです。

—動物病院では、どのような治療をするのでしょうか?

 原因により治療方法は異なりますが、痒みがひどく掻きむしってしまう場合には、まず痒みを抑える注射や内服薬を使用することが多いです。

内服薬で痒みをコントロールしながら、アレルゲンを特定します。

内服薬で痒みをコントロールしながら、アレルゲンを特定します。

—飼い主さんがアレルギー症状に気づくのは、どのようなときでしょうか?

 ひどく痒がって体中を掻いている、皮膚に湿疹や炎症がある、などで気づく場合があります。

—猫がアレルギーを発症するのは、いつ頃でしょうか?

 だいたい若いとき、1〜2歳で発症することが多いですね。シニアになってから突如アレルギーを発症する、ということは多くありません。

—アレルギーを持つ猫は、最近増えているのでしょうか?

 どれくらいの猫がアレルギーを持っているのか分からないため、増えているのかどうかも判断できませんが、人間の場合は先進国などでアレルギーを持つ人が増えていることから、清潔すぎる環境で過ごすこととアレルギーの関係性などが示唆されているようです。

愛猫が食物アレルギーになったら?

—食物アレルギーが疑われるのは、どのような場合でしょうか?

 まずは、療法食や除去食と言われる食事を与えて、症状が治まるかどうか2ヵ月ほど様子をみます。その後通常の食事に戻してみて、再び症状が出るようなら食物アレルギーだと診断されます。

療法食を与えて、症状が治まるか様子を見ます。

療法食を与えて、症状が治まるか様子を見ます。

—療法食とは、どのような食事なのでしょうか?

 アレルギーは、タンパク質に反応して起こります。猫は肉食ですが、肉のタンパク質に限らず、乳製品や小麦などのタンパク質に対してもアレルギー反応は起こります。

 療法食は、アレルギーが起こりにくいと考えられている肉を主成分にしたり、タンパク質を加水分解してアレルギーが起こりにくくしています。
 いずれも、動物病院で処方されます。

—食物アレルギーだと判断されると、ずっと療法食を食べ続けるのでしょうか?

 基本的には、そうなります。療法食はもちろん完全栄養食なので、療法食だけでも栄養が不足することはありません。

—食物アレルギーは、痒み以外の症状は出ないのでしょうか?

 場合によっては、下痢や嘔吐などの消化器症状が出る「アレルギー性腸炎」になることもあります。

愛猫がノミアレルギーになったら?

—ノミアレルギーは、どのような症状なのでしょうか?

 通常、ノミに噛まれるとその部分が赤く腫れて、痒くなります。
 しかしノミアレルギーはそれだけではなく、ノミの唾液に反応して全身が痒くなり、湿疹が出ます。

—ノミアレルギーの場合は、どのように治療をすればよいでしょうか?

 ノミに噛まれなければ症状は出ないので、ノミの駆虫を行い、その後はノミがつかないように予防をします。
 完全室内飼育されており、飼い主さんが外で他の猫などと触れ合う機会がなければ、アレルゲンとなるノミと接触する可能性は低くなりますので、一度駆除できれば、その後の心配はほとんどありません。

 猫のノミ対策については「【猫のノミ対策】効果的な予防法と早期駆除のポイント」をご覧ください。

愛猫がアトピー性皮膚炎になったら?

—猫のアトピー性皮膚炎は、どのような症状が出ますか?

 まず前提として、猫の場合は、厳密には人間や犬のように「アトピー性皮膚炎」ではなく、「アトピー“様”皮膚炎」です。

 アトピー性皮膚炎の原因としてIgE抗体が影響していると考えられていますが、猫の場合はIgE抗体の働きを証明することができません。また、遺伝の関与も分かっていないため、一般的に言われているアトピー性皮膚炎と同じ扱いができないのです。

 ただ原因や症状がほとんど同じなので、動物病院でも飼い主さんにわかりやすいように、「アトピー性皮膚炎」と言っています。

—アトピー様皮膚炎(アトピー性皮膚炎)は、どのように診断されるのでしょうか?

 症状からアレルギー性皮膚炎が起こっていることが分かっていて、検査などにより食物アレルギーでもノミアレルギーでもなく、その他の疾患もないことが判明した場合、アトピー様皮膚炎(アトピー性皮膚炎)と診断されます。

—アトピー様皮膚炎(アトピー性皮膚炎)の原因は何でしょうか?

 食物やノミ以外のもの(ハウスダスト、ダニなど)に過敏に反応することによって起こります。

保湿性のあるシャンプーで肌をケアします。

保湿性のあるシャンプーで肌をケアします。

—アトピー様皮膚炎(アトピー性皮膚炎)の治療は何をするのでしょうか?

 内服薬で痒みをコントロールしながら、保湿をしてスキンケアを行います。
 猫は犬のように頻繁にシャンプーをしませんが、1〜2ヵ月に一度程度、保湿効果のあるシャンプーを使用して、お肌の状態を良くします。

—痒みが出ているときは、撫でたりブラッシングをしたりするのを控えたほうが良いでしょうか?

 湿疹や掻き壊しによる炎症ができているときは、肌への刺激は避けたほうが良いでしょう。

—猫がひどく痒がっているときは、どうすれば良いでしょうか?

 基本的に薬を飲んでいれば、痒みをコントロールすることが可能です。
 ただ、痒み止めが無い場合は応急処置として、冷やすと一時的に痒みがやわらぐことがあります。

—症状の緩和や治療のために、毛刈りが必要ですか?

 塗り薬の場合は長毛だと塗りづらいこともありますが、毛につくカビなどがアレルゲンでなければ、基本的に治療のために毛を刈ることはありません。

 猫は、犬よりも通院やシャンプーを嫌がる傾向にあります。それでも症状がひどいときは、飼い主さんが根気強く対応して、痒みや痛みから愛猫を守ってあげてください。

三宅亜希先生
お話しいただいた先生 /
三宅 亜希 先生
日本で唯一の会員制電話どうぶつ病院「アニクリ24」院長。都内の動物病院にて小動物臨床に従事したのち現職。繊細なコミュニケーション力を生かし、小動物医療の現場で毎日寄せられている様々な相談に応じている。

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