2022/02/22

猫のゴロゴロ音はどこから鳴っている?意味や仕組み、効果を知りたい!

2022/02/22

猫のゴロゴロ音はどこから鳴っている?意味や仕組み、効果を知りたい!

 猫を飼ったことがある人なら、必ず一度は聞いたことがあるはずの猫のゴロゴロ音。猫が喉を鳴らしている姿はとても可愛いですよね。

 このゴロゴロ音ってどんな意味があるのでしょうか?今回はそんな疑問にお答えして、猫のゴロゴロ音の真相に迫ります。

猫のゴロゴロ音はどういう仕組みで出ている?

 猫のゴロゴロ音が鳴る仕組みは、人間でいうノド仏のあたりに該当する「喉頭」の筋肉が収縮し、声帯が振動することで鳴っていると考えられていますが、実は現代においてもはっきりと解明されていません。いくつか説が存在するようですのでご紹介します。

血流が渦巻くことで音が出ている説

 喉元を通る太い血管(大静脈)は、体中の血液を集めて心臓に送り込む働きを担っています。大静脈の血流が増えると血流が渦巻くようになり、低い音が出るとされています。その音による振動が横隔膜によって増幅され、ゴロゴロと音が鳴る、といった仕組みです。

ゴロゴロ音を出すための仮声帯がある説

 喉頭にある声帯が開いたり閉じたりすることで鳴き声を出しており、人間やほかの動物にも声帯は存在します。猫の場合は「仮声帯」と呼ばれる別の器官も持っていて、ここを動かすことでゴロゴロと喉を鳴らしているという説があります。「ニャー」と鳴く声は声帯、「ゴロゴロ」喉を鳴らすのは仮声帯と、役割が分かれているという訳ですね。

猫はどんなときにゴロゴロ鳴くの!?

 このゴロゴロ音、実はいろいろな種類があり、場面ごとで違った意味を持っているようです。

1.スマイルのゴロゴロ

 猫がゴロゴロ鳴く場合で多いのは、リラックスしているときや、幸せを感じているときです。例えば、飼い主さんになついた愛猫が、抱きかかえられたときなどによく出すゴロゴロ音です。

飼い主さんに甘えてゴロゴロ鳴いている猫はとっても幸せそうです。

飼い主さんに甘えてゴロゴロ鳴いている猫はとっても幸せそうです。

 喜んでいることや、幸せな状態であることを周囲に伝えることができるので、人間の「スマイル」に相当すると解釈されています。

 このゴロゴロ音は中低音となるのが特徴で、大きさもやや控えめです。猫を飼っていると一番よく耳にするタイプの鳴き声の1つでしょう。

2.母子間のコミュニケーション

 またゴロゴロ音は母猫と子猫のコミュニケーションにも使われます。母猫は子猫に近づくときにゴロゴロ音を出し、コミュニケーションを図ります。

ゴロゴロ音は母猫と子猫の大事なコミュニケーションのひとつです。

ゴロゴロ音は母猫と子猫の大事なコミュニケーションのひとつです。

 一方の子猫は生まれたてのころはまだゴロゴロ音を出せないものの、2日齢までには出せるようになります。子猫がゴロゴロ音を出すのは、「自分は元気だよ」ということを母猫に伝えていると考えられています。

 こちらのゴロゴロ音もスマイルのゴロゴロとほぼ同じような音程です。生後3週間までの子猫の場合は、音が小さいのが特徴ですが、そのあとは音の大きさもスマイルのゴロゴロと変わりはありません。

 飼い主さんと一緒にいて安心するように、親子で一緒にいるとリラックスをするのかもしれませんね。

3.ピンチの時、苦しいときのゴロゴロ音

 ゴロゴロ音はリラックスしているときや母子間だけでなく、ピンチの時や苦しいときも発せられます。

睨み合いのときなどにもゴロゴロ音を出します。低めの鳴き声なのが特徴です。

睨み合いのときなどにもゴロゴロ音を出します。低めの鳴き声なのが特徴です。

 例えば、怪我をしたときや、喧嘩を避けようとするとき、分娩時、死の間際などです。
 動物病院の診察台の上などでゴロゴロ鳴いている場合などは、こちらの理由で鳴らしていることが多いようです。

 こちらのゴロゴロ音は、1や2よりもさらに低いのが特徴。低めのゴロゴロ音が出ているときは、苦しがっている場合もあるので注意が必要です。

いつもと違うゴロゴロ音が出るのはなぜ?

 これまでご紹介したゴロゴロ音は低い音が中心ですが、少し高いゴロゴロ音を出すときもあります。それは何かを要求しているときに出す「要求のゴロゴロ」かもしれません。

ゴロゴロ音を使って、飼い主さんにお願いをすることもあるようです。

ゴロゴロ音を使って、飼い主さんにお願いをすることもあるようです。

 ご飯が欲しいときや、飼い主さんに何らかのお願いがあるときに出す声ともいわれています。ある実験で、要求時に出す高周波の声だけを取り出して被験者に聞かせてみると、猫を飼ったことがない人でも「なぜか緊急性があるという印象を持った」という回答が多くみられたようです。

 猫はゴロゴロ音で飼い主さんを操っているのかもしれません。

参照
Research reveals how cats purrfect the art of exploitation
https://www.sussex.ac.uk/broadcast/read/1208

中には一生ゴロゴロ音を出さない猫も

 すべての猫がゴロゴロ音を出すかというとそうではなく、中には一生ゴロゴロ音を出さない猫もいるようです。この原因についても、残念ながらまだ解明されていないようです。

なかなかゴロゴロ音を出さない場合は、少しずつスキンシップを増やしてみましょう。

なかなかゴロゴロ音を出さない場合は、少しずつスキンシップを増やしてみましょう。

 ただ人にあまり慣れていない猫はゴロゴロ音を出さない傾向にあるようです。そのような場合は、スキンシップの機会を増やし、お気に入りのポイントをなでてあげるなどすることで、徐々に鳴らしてくれるようになることもあります。

 飼っている猫がなかなか喉を鳴らさなくても、あせらず、ゆっくりとお互いの信頼関係を築いていきましょう。

 ちなみに同じネコ科でも、ライオン、トラ、ジャガー、ヒョウなどはゴロゴロ音を出さないようですが、逆にチーター、オオヤマネコ、マウンテンライオンはゴロゴロ音を出すそうです。
 動物園に行ったときは、大型動物の勇姿だけでなく、ゴロゴロ音にも注目してみるといいかもしれませんね。

ゴロゴロ音は人間にもメリットが

 猫のゴロゴロ音の周波数はほぼ25ヘルツの低周波といわれています。実は20〜50ヘルツの音は体の緊張をほぐす副交感神経を優位に立たせる効果があります。

 副交感神経は、活動によって疲れた体を回復させる神経で、疲労やダメージを修復して元気な状態に戻すのに不可欠です。セルフケアとして、半身浴やヨガを行うなどで副交感神経を優位にしている方も多くいます。

 副交感神経を優位にすれば、ストレスを解消できるだけでなく、免疫力もアップします。

 また低周波には、多幸感を得られる「セロトニン」を分泌させる効果もあります。猫のゴロゴロ音には自律神経やホルモンバランスを整えるといった驚きの力もあるようです。

猫とコミュニケーションをとって、癒しと健康を手に入れましょう。

猫とコミュニケーションをとって、癒しと健康を手に入れましょう。

 フランスではこれを利用し、ゴロゴロ音を治療やリラクゼーションに取り入れた「ゴロゴロ・セラピー」が行われています。猫と一緒に暮らせば、知らず知らずのうちに健康になっているかもしれません。

 ゴロゴロ音は、かわいいだけではなく、飼い主さんの健康維持までしてくれていたようです。疲れをとりたいときはお家の猫と一緒に過ごすのはもちろん、猫以外のペットを飼っている人は「猫カフェ」に行ってみるのもいいかもしれません。可愛い猫たちがきっと心身ともにほぐしてくれるそうです。

ゴロゴロ音以外に猫が幸せな気持ちを表すサインとは?

 ゴロゴロ音以外にも猫が幸せを感じた時にするしぐさがあります。

①尻尾をピンと立てる
 猫は尻尾で感情を表現します。うれしいときや幸せと感じているときは尻尾をピンと立てた状態になります。
 犬の場合は尻尾を振ることでうれしいという感情を表しますが、猫が尻尾を横に振るときはイライラしているなど逆の意味になるので要注意です。

 猫のしっぽについて詳しくは、「猫のしっぽはこんなにすごい!?猫を支える2つの役割」をご覧ください。

②飼い主さんにスリスリする
 猫が飼い主さんにスリスリをする行動は機嫌がよく、飼い主さんに甘えたいときにみられる行動です。幸せを感じ、飼い主さんに甘えたいという気持ちの表れでもあります。

 猫のスリスリする行動について詳しくは、「猫の気持ちを読み取ろう!猫が顔や身体を「すりすり」する理由とは」をご覧ください。

③お腹を見せてくれる
 お腹を見せて床にゴロゴロしたり、お腹を見せてスヤスヤ眠ったりと無防備な行動を取るのは、飼い主さんを信頼して安心しきっている証拠です。まさに幸せを感じている瞬間といえます。

④目を細める
 目を細めてジッとしている時は、猫同士の世界でいうと「敵意が無く安心している状態」となり、敵がいない環境でリラックスしている状態です。

猫が低い音で苦しそうにゴロゴロ音を出し始めたら病気の可能性がある

 飼い主さんに気をつけてほしいのが、低音のゴロゴロ音です。苦しみ・怯え・痛みなどを感じているときに出すことがあり、出産時や死に際にも出す場合があります。愛猫がこのようなゴロゴロ音を出している場合は注意しましょう。

 猫は、体調不良でもギリギリの状態になるまで自分が弱っている姿を見せない動物です。そのため、寝そべって苦しそうにゴロゴロと低音を出している場合には、体調が良くない可能性もあります。速やかに動物病院へ連れて行き、獣医師の診断を受けましょう。

運営・監修 「いぬと暮らす、ねこと暮らす。」編集部

動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。

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