2020/06/25

おしえて獣医さん! 愛猫の「フケ」の原因と予防方法

2020/06/25

おしえて獣医さん! 愛猫の「フケ」の原因と予防方法

 愛猫の体に白い粉のようなものを見つけたら、それはフケかもしれません。フケには皮膚炎などの病気のほかに猫の体型や体質、加齢、ストレスが原因になることもあります。フケが出る原因と予防方法について、獣医師の白神先生にうかがいました。

フケが発生する原因は?

—フケはどうして出るのでしょうか?

 猫の皮膚は通常3週間で新しいものに生まれ変わり、古い角質はフケとなり皮膚からはがれ落ちます。フケ自体は皮膚の代謝が正常に行われている証であるため、少量であれば問題ありません。

—正常なフケと心配なフケの見分け方を教えてください。

 フケそのものは病気ではありませんが、全身に過剰なフケが出ていたら病気のサインかもしれません。フケが過剰に出ている場合、フケ以外に皮膚の状態が悪化していないか、具合を悪そうにしていないかなど注意深く様子をみてあげてください。皮膚炎を患っている場合、痒みの症状も併せて出ていることが多いので、愛猫が痒がっていないかチェックしてください。

—皮膚炎を引き起こす原因を教えてください。

 皮膚炎を発症する原因はアレルギーによるもの(アトピー、食物アレルギー)、自己免疫疾患、細菌感染、真菌(カビ)感染、寄生虫(ノミ・ダニ)感染があります。

皮膚炎の原因は様々ですので、動物病院で正しい診断をしてもらいましょう。

皮膚炎の原因は様々ですので、動物病院で正しい診断をしてもらいましょう。

—アレルギーが原因の場合、どのような治療を行うのですか?

 アトピー性皮膚炎は、皮膚にハウスダストや花粉、細菌など環境アレルゲンが付着することで痒みが発生します。サプリメントの投与や室内環境を整えてあげるとよいとされています。一方、食物アレルギーは過去に食べたことのある食物のたんぱく質や食品添加物への過敏な反応で引き起こされるため、食事療法で治療していきます。

—細菌感染の原因はどんなことが考えられますか?

 細菌感染はシャンプー後の皮膚の乾燥が十分でない場合に発症する恐れがあります。皮膚や被毛に常在する細菌(主にブドウ球菌)や真菌(皮膚糸状菌症、マラセチア菌など)が異常繁殖し皮膚炎を引き起こすことがあります。治療には抗生剤の投与、薬用シャンプーや獣医師が処方するシャンプーが効果的です。

シャンプー後はしっかり水分を取ってあげましょう。

シャンプー後はしっかり水分を取ってあげましょう。

—真菌(カビ)、ノミ・ダニに感染したらどのような治療をしますか?

 真菌感染は既に真菌に感染している猫との濃厚接触や汚染された環境下で感染するため抗真菌薬の投与、薬用シャンプーや獣医師が処方するシャンプーで治療します。ノミやダニはネコノミ、マダニ、疥癬等いくつか種類がありますが、いずれも駆虫薬を投薬して改善させていきます。

病気以外にフケが増える原因とは?

—病気以外でフケが増える原因は何が考えられますか?

 体型や体質、加齢、ストレスによりフケが増えることがあります。肥満気味の猫やマンチカンなどの品種は体型による関節疾患から、毛づくろい不足が指摘されています。また皮膚を保湿するセラミドが元々少ないフケ症体質の猫もいます。高齢の猫は関節を動かせる範囲が狭くなることで筋肉や運動量が低下し、毛づくろいの回数や質が落ちてフケを発症しやすくなります。

肥満はあらゆる疾患の原因となります。

肥満はあらゆる疾患の原因となります。

—生活環境が影響することもあるのでしょうか?

 猫はストレスを感じやすい生き物のため、気持ちを落ち着かせようと過剰な毛づくろいを行い皮膚炎を患うケースや、ストレスホルモンがフケの原因になることもあります。引っ越しをした、近所に工事現場があるなど環境の変化がないかなども気にしてあげましょう。
 また、おやつばかり食べてしまうなど偏った食生活を送っている場合、その危険のサインとしてフケが出ることがあります。近頃のキャットフードは栄養価に優れているため、毎日バランスの良い食事をしっかり取っていればフケの原因となるような栄養失調は起こりにくいです。
 猫の適正な食事の量、回数、与え方などについて詳しくは、「猫の餌って何がいいの?」適切な食事の回数、選び方から与え方まで」を参考にしてください。

愛猫が静かにゆっくりできるスペースを作ってあげましょう。

愛猫が静かにゆっくりできるスペースを作ってあげましょう。

フケの発生を防ぐには?

—自宅でできるフケの予防方法を教えてください。

 猫用のブラシで全身を優しくブラッシングしてあげてください。ゴシゴシこすると皮膚に刺激を与え、皮膚炎やフケの産生を促してしまいます。ブラッシングを嫌がる猫もいるので、優しく話しかけながら撫でてあげましょう。皮膚のバリア機能を強化するため、保湿効果のある猫用シャンプーやリンスで定期的にケアすることもおすすめです。

毎日のブラッシングがフケ予防につながります

毎日のブラッシングがフケ予防につながります

—ブラッシングやシャンプーが苦手な猫はどうしたらいいでしょうか?

 保湿効果のある猫用シャンプーやリンスを蒸しタオルに染み込ませ、全身を優しく拭いてあげましょう。皮膚の健康維持に必要な栄養素のサプリメントでフケ対策を行うのもよいでしょう。サプリメントで必須脂肪酸やビタミン、ミネラル不足を補うこともできます。

蒸しタオルは熱すぎないよう、温度に注意しましょう。

蒸しタオルは熱すぎないよう、温度に注意しましょう。

—フケを見つけてから、動物病院に連れて行くタイミングを教えてください。

 飼い主さんが判断する基準は以下を参考にしてください。

・全身にフケがある
・痒がっている
・日々のブラッシングやシャンプーでフケが改善されない
・フケ以外に体調で心配な点がある

 また、食事やサプリメントについてアドバイスが必要な場合は、動物病院に行って相談を受けてみてください。愛猫が頻繁に起きて痒がっている、食事中や遊んでいる最中にも痒がっている場合は猫も辛いと思いますので、すぐに病院に連れて行ってあげてください。
 単なる古い角質がはがれたものに見えても、皮膚炎など病気のサインにもなり得る猫のフケ。見分けることが難しい分、愛猫が体調を落としていないか様子を見てあげることが大切です。猫は本来単独行動を好む動物のため、飼い主に病気の症状を隠しがちです。毎日の生活の中で愛猫の体の異変を見落とさないようにしましょう。

白神久輝先生
監修 /
白神 久輝 先生
 埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主さんにもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
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