2018/08/28

獣医師に聞く!夏の食中毒にご用心!食中毒の原因や治療・予防方法

2018/08/28

獣医師に聞く!夏の食中毒にご用心!食中毒の原因や治療・予防方法

 食べ物が傷みやすい時期は、人間もペットも食中毒への注意が必要です。また犬の食中毒は、わたしたちがよく食べている“ある食べ物が”原因となることもあります。獣医師の三宅先生に、犬が食中毒になる原因や治療方法、予防方法についてうかがいました。

犬が食中毒を起こす原因は?

—犬は、どのような原因で食中毒になるのでしょうか?

 まず、一般的な食中毒の原因として、

  1. 食べ物が細菌、ウイルス、寄生虫などに汚染されていた場合

  2. フグ、毒キノコ、ジャガイモの芽などの自然毒

  3. が、あります。
     犬の場合はさらに、

  4. 人間にとっては「食べられる」ものでも、犬にとって「毒」となるものを食べてしまった場合

のケースを知っておくことが重要です。

市販のドッグフードだけを食べていれば、ほとんど心配はありません。

市販のドッグフードだけを食べていれば、ほとんど心配はありません。

—市販のドッグフードだけを食べていれば、安心でしょうか?

 基本的にはそうです。ただし、日本国内では滅多にありませんが、海外ではサルモネラ菌に汚染されたドッグフードがリコールされた、などのケースもあります。また、海外のジャーキーが原因と思われる食中毒で犬が数百頭亡くなったという話を聞いたこともありますので、加工食品による食中毒の可能性はゼロではありません。
 ただ、基本的には市販のドッグフードを食べさせていれば、大きな心配はありませんね。

—ドッグフードの管理方法が悪くて食中毒になってしまうこともありますか?

 湿気の多い環境に放置しておくとカビが生えることもありますので、ドライフードであれば大袋ではなく小袋の製品にして、すぐに使い切れるようにした方が安全です。蓋を開けた缶のウェットフードは、保存容器などに移して必ず冷蔵庫に入れ、すぐに使い切るようにしてください。

 市販のドッグフードには防腐剤や防カビ剤が添加されているのでそこまで心配する必要はありませんが、手作り食をあげている飼い主さんは、夏場は特に注意が必要です。使用する調理器具などの除菌をし、食品にはしっかりと火を通すように気をつけてください。

 また肉を生で食べさせている飼い主さんもいらっしゃると思いますが、食中毒予防の観点から言うとおすすめはできません。

—犬にとって食べてはいけない食べ物は、どのようなものでしょうか?

 代表的なものは、玉ねぎやチョコレートです。玉ねぎは貧血症状になりますし、チョコレートの場合は不整脈などを引き起こします。どちらも、最悪の場合は死に至ることもありますので、もしこれらの食べ物を少量でも口にした場合は、すぐ動物病院に連絡しましょう。

 犬に与えてはいけない食べ物については、「犬の誤飲・誤食を防ぐために|安全に応急処置できる対処法一覧付き」もあわせてご覧ください。

—犬は地面に落ちたものも食べてしまいますが、人間よりも「お腹が強い」のでしょうか?

 犬は人間よりも胃酸が強いと言われていますが、犬も人間同様に細菌に汚染されたものを食べたら中毒症状を起こします。
 ただ、多少地面に落ちたくらいで大量の細菌に汚染されることはほとんどありません。人間でも、地面に落ちたものを少し食べたからといって、必ず食中毒になるわけではありませんよね。一般的な環境の中にいる細菌が多少付いても、人間でも犬でも大した影響はないと思いますよ。

食中毒の治療方法は?

—下痢や嘔吐の症状が出た場合は、すぐに受診した方が良いでしょうか?

 玉ねぎやチョコレートなど禁忌にあたるものを食べてしまった場合や、普段と違う食材や調理方法で作った手作り食を与えた場合などは受診が必要です。
 通常と同じ食事を食べている場合は、短時間で何度も下痢や嘔吐を繰り返す場合は受診が必要ですが、症状が落ち着いているのであれば一晩様子を見ても良いでしょう。

 犬の下痢については、「犬の下痢の原因と対処法を獣医師が解説!嘔吐・血便には要注意?」もあわせてご覧ください。

犬が食べてはいけないものを食べてしまった場合は、すぐに受診しましょう。

犬が食べてはいけないものを食べてしまった場合は、すぐに受診しましょう。

—食中毒の治療は、どのようなことをするのでしょうか?

 食中毒の原因によって異なりますが、下痢や嘔吐を起こしている場合は、それによる脱水症状や電解質バランスの乱れなどを緩和させるための治療が必要となるため、場合によっては点滴を流しながらの入院が必要になることもあります。また細菌を殺す抗生物質を使用したり、毒素を吸着させる薬を使用することもあります。

 玉ねぎを摂取したことによる貧血の治療では、重症になると輸血が必要になる場合もあります。

—下痢便や嘔吐物の中に含まれる細菌やウイルスによって、他の動物が感染することはありますか?

 ウイルスに関しては、感染力が高いため他の動物への感染リスクも高まります。細菌に関しては、犬の年齢や体調などによりそのリスクは変わってくるため、一概には言えません。

食中毒の予防方法は?

食中毒を予防したいのであれば、生食は避けましょう。

食中毒を予防したいのであれば、生食は避けましょう。

—犬の食中毒は、どのようにして予防できますか?

 まずは、生食を避けることです。人間でも、肉を生で食べると食中毒を起こす可能性が高いですよね。「ドッグフードよりも生肉のほうが食が進む」「毛艶が良くなる」という実感を持っている飼い主さんがいらっしゃるかもしれませんが、生食の方が健康に良いというエビデンスはありません。食中毒予防の観点から見ると、生食は絶対に避けてください。

 また、手作り食を与えている飼い主さんは、夏場は特に除菌・消毒を心がけ、食材にはしっかりと火を通すようにしましょう。

 そして一番重要なことは、人間の食べ物を与えないことです。
 犬にとって禁忌にあたる食べ物はたくさんあります。ドッグフード以外は絶対に口にしないよう、飼い主さんは十分に注意してください。

 すべての下痢や嘔吐が、食中毒に起因するものとは限りません。気になる症状が出ていたら、すぐに動物病院を受診しましょう。

三宅亜希先生
お話しいただいた先生 /
三宅 亜希 先生
日本で唯一の会員制電話どうぶつ病院「アニクリ24」院長。都内の動物病院にて小動物臨床に従事したのち現職。繊細なコミュニケーション力を生かし、小動物医療の現場で毎日寄せられている様々な相談に応じている。
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