2017/06/06

愛猫が「ママ」になる!〜猫の妊娠・出産〜

2017/06/06

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 「犬は安産の動物」というイメージがありますが、犬種によっては難産になることも多く、実は犬よりも猫のほうが一般的には安産な動物です。しかしいくら猫が安産だと言っても、妊娠中や出産時には様々なリスクがあります。
 猫の妊娠に関する基礎知識と、出産に向けた飼い主さんの準備についてご紹介します。

猫は周期的に発情する

 猫は、早い場合で生後5ヶ月頃から、大体1歳前後までに最初の発情期を迎えます。発情すると大きな声でずっと鳴いたり、家から出て行こうとするなど、普段とは違う行動を取るようになります。

発情中に外に出て事故にあうケースが多いため、注意しましょう。

発情中に外に出て事故にあうケースが多いため、注意しましょう。

発情中の鳴き声のお悩みについては
「発情期の猫の鳴き声対処法|スプレー行動もうまく切り抜けよう!」
もあわせてご覧ください。

 1回の発情は大体4〜14日間で、発情中に交尾をしなければ16〜36日の周期で発情を繰り返します。交尾をすると、交尾後24〜36時間後に排卵が起こり、その数日後には発情はおさまります。妊娠していれば、約65日後に出産をします。

三宅亜希先生

三宅 亜希先生のコメント

 発情中の猫は落ち着きがなくなりしきりに外へ出たがります。中には隙を見て脱走してしまう子もいますので、戸締りにはいつも以上に注意が必要です。

[三宅 亜希先生のプロフィール]
日本で唯一の会員制電話どうぶつ病院「アニクリ24」院長。都内の動物病院にて小動物臨床に従事したのち現職。繊細なコミュニケーション力を生かし、小動物医療の現場で毎日寄せられている様々な相談に応じている。

猫の妊娠率はかなり高い

 猫は交尾の刺激によって排卵する「交尾排卵動物」で、一度に5〜6個の卵子を排卵します。一度の交尾刺激で排卵することは少なく、基本的には複数回交尾を繰り返します。この際、複数の雄猫と交尾を行うことで、父親の異なるこどもを妊娠することがありますが、これは一度に複数の卵子を排卵する「多排卵動物」ではよく見られる現象です。

父親の違う子猫を妊娠・出産するケースもあります。

父親の違う子猫を妊娠・出産するケースもあります。

 排卵しても着床しなかった場合は、「偽妊娠期間」というものが生じます。偽妊娠とは妊娠していなのに妊娠をしているときと同じホルモンが働き、乳腺が張ったり、中には母乳が出たりする状態のことです。

三宅 亜希先生のコメント
 猫の偽妊娠は、稀です。病気ではないので基本的にはそのまま様子を見ていれば、約1ヶ月ほどで再び発情期に入ることが多いです。
 しかし、偽妊娠の影響で乳腺が張りすぎて熱を持ったり、食欲不振がひどいときには、受診を検討されたほうが良いでしょう。

妊娠中の状態変化

 では、猫が妊娠したらどのような状態になるのでしょうか。
 まずは乳首や乳房に変化が起こります。乳首がピンク色になり、乳房が膨らんできます。人間のようにひどいつわりはあまりありませんが、妊娠初期に食の好みが変化することはあるようです。
 そして徐々にお腹の膨らみが目立つようになると食欲が増加し、活動量が減ります。妊娠50日を過ぎたあたりから胎動を感じられるようになります。

お腹の膨らみが目立つようになるのは、妊娠40〜50日あたりです。

お腹の膨らみが目立つようになるのは、妊娠40〜50日あたりです。

 そして、いよいよ出産数日前になると食欲が低下します。また攻撃的になったり、ソワソワして落ち着かない行動を取るようになります。床や布団を掘り返すような仕草をする「営巣行動」が見られることもあります。

三宅 亜希先生のコメント
 妊娠中はお腹のこどもを育てるために、十分な栄養が必要です。かかりつけの先生におすすめの高栄養フードを教えていただくのもいいでしょう。

妊娠したかな?と思ったら

 飼い猫が妊娠したときは、一度動物病院で診察を受けておくと安心です。猫は安産なので、特に受診しないという飼い主さんも多くいますが、妊娠中の体の変化や注意点などを具体的に指導してもらうためにも、ぜひ一度動物病院に足を運んでください。

妊娠検査は動物病院で行うことができます。

妊娠検査は動物病院で行うことができます。

 妊娠しているかどうかは、超音波(エコー)検査で調べることができますが、あまり早い時期に行うとなかなか分かりにくいため、交配から30日を過ぎた頃がよいでしょう。胎児の数を明確に把握するため、45日以降にレントゲン検査を行うこともあります。
 事前に胎児の数がわかっていれば、「全部生まれたと思っていたら、実はお腹の中にもう一匹残っていた」などというトラブルを避けられます。

三宅 亜希先生のコメント
 基本的には、通常通りの生活を送っていれば大きな問題は起こりません。しかし、中には元気だった胎児がお腹の中で亡くなってしまうことなどもありますので、動物病院で胎児の数と元気に心臓が動いているかを、必ず確認してもらうようにしましょう。

いよいよ出産!何を準備すればいい?

 猫の平均的な妊娠期間は、約65日です。出産が近づいたら、安心して過ごせる静かな場所に、ダンボールにタオルや毛布などを入れた「産箱」を用意します。明かりは、暗めのほうが安心できるようです。出産中は人間が近づくと警戒するため、目線を遮る衝立などを立てるのも良いでしょう。

 そして、清潔なタオルやハサミ、丈夫な木綿糸、お湯などを用意して、陣痛が来るのを待ちます。念のため、かかりつけの動物病院に連絡を入れておくと安心です。

三宅 亜希先生のコメント
 基本的には、母猫に任せておけば大丈夫です。出産は夜間に行われることが多いので、万が一のときに受診できる夜間病院はどこにあるのかを把握しておきましょう。

出産時のトラブルに備える

 猫の出産時間は個体差がありますが、1時間以上陣痛が継続したり、胎児が出てくる前に大量の出血をしたり、子猫の頭が見えているのに5分以上出てこない場合など、何らかのトラブルが発生したら、早めの受診をオススメします。まずはかかりつけ医に連絡をして、指示を仰ぎましょう。前もって夜間や救急対応が可能な動物病院を調べておくと、万が一のときも安心です。

何かトラブルがあったら、飼い主さんがお手伝いしてあげましょう。

何かトラブルがあったら、飼い主さんがお手伝いしてあげましょう。

 無事に出産を終えても、中には子猫の世話をしない親猫もいます。そのような場合は、飼い主さんがお手伝いをしてあげましょう。子猫のケアでわからないことがあれば、すぐに動物病院に電話をして指示を仰いでください。

 しかし基本的には、子猫の世話は親猫に任せ、飼い主さんは万が一のサポートをする、くらいの関わり方を心がけてください。人間が関わりすぎると親猫がパニックを起こし、子猫に危害を加えたり、育児をしなくなる可能性もあります。

三宅 亜希先生のコメント
 強い陣痛が始まって1時間以上経過しても胎児が出てこない場合は、胎児が産道の途中でひっかかってしまっている恐れもあるため、獣医師に相談して指示を仰いだほうが安心です。
 生まれてきた子猫は母猫が羊膜を破り顔や体を舐めてお世話をします。その際にもし鳴きもせず動きもしない子猫がいた場合は、母猫からあずかり、子猫をやさしく両手で包むように持ち、子猫の鼻や口から羊水が出るように軽く振ります。その後タオル等で身体をこすってあげます。蘇生したら、そのまま母猫の元に戻してあげましょう。
 へその緒は母猫が噛み切って処理をすることが多いので、そのまま任せてもいいでしょう。

 

子猫を産ませることの責任

飼い主さんのやるべきことについて、しっかりと考えておきましょう。

飼い主さんのやるべきことについて、しっかりと考えておきましょう。

 飼い猫が出産をすることは幸せなことですし、生まれた子猫はとても可愛らしいでしょう。しかし、命を増やすことは、それだけ責任も伴います。猫を出産させるのであれば、子猫を飼う環境を整えたり、里親を事前に探しておくなどの準備が必要です。

 どんな動物でも、出産には必ずリスクが伴います。それは、安産である猫でも同じです。
 飼い主さんが十分に考えた上で、最後まで責任ある行動を取りましょう。

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