2020/06/18

【獣医師監修】犬の多飲・多尿は病気のサイン?考えられる病気とは

2020/06/18

【獣医師監修】犬の多飲・多尿は病気のサイン?考えられる病気とは

 犬の多飲・多尿は、気候やその犬の体質によるものもありますが、病気が原因で飲み水の量が増えることがあります。普段に比べて、愛犬が水を飲みたがったり、おしっこの回数や量が多いと感じた場合には、病気のサインかもしれません。

多飲・多尿を把握する方法は?

愛犬が健康な時の、水を飲む量やおしっこの量を把握しましょう。

愛犬が健康な時の、水を飲む量やおしっこの量を把握しましょう。

     
  1. 多飲を把握する方法
      

     愛犬が多飲になっていないか判断するためには、普段、どれくらいの量の水を愛犬が飲んでいるのか、把握することが大切です。
     一日(24時間)あたりの正常な量は、体重1kgあたり20~90mlです。体重1kgあたりに対し100mlを超えるようであれば多飲と言えます。例えば体重5kgの犬が、500mlの水を一日で飲む場合には多飲と考え、動物病院に相談するのがよいでしょう。

     それでは実際にどのように測定したらよいでしょうか?例えば、500mlの空のペットボトルに水を汲み、朝7時から翌日の朝7時までにどのくらいの水量を飲んだのか計測しましょう。気温や運動量の変化で水を飲む量も変わりますが、一週間ほど毎日測定して平均すると誤差も少なくなり、判断しやすくなります。
    ※お散歩の時に飲んだ量も把握しておきましょう。

  2. 多尿か把握する5つのポイント

     愛犬の尿の量を把握するのは非常に困難です。次のような様子が愛犬に見られる場合には、多尿の可能性があります。

    ・お漏らし、失禁をする
    ・おしっこをする時間が長いと感じる
    ・おしっこの回数が多いと感じる
    ・おしっこの色が薄いと感じる
    ・ペットシーツのおしっこの広がりが今までより大きいと感じる

     このように多飲・多尿になっていないか把握するには、普段からの観察が必要です。多飲・多尿の症状が続くようであれば、病気のサインかもしれませんので、動物病院で相談しましょう。

犬の多飲・多尿を引き起こす主な病気

おしっこの回数やニオイが普段と違う場合は、様子を観察してあげましょう。

おしっこの回数やニオイが普段と違う場合は、様子を観察してあげましょう。

 愛犬の水を飲む量、おしっこの量が増えることには、いろいろな原因があり、なかには思わぬ病気を抱えている場合もあります。

  1. 糖尿病

     膵臓の一部の細胞(β細胞)で作られるインスリンが十分に働かないために、血液中のブドウ糖(血糖)が異常に高くなる病気です。糖尿病の初期症状として、水の多飲・多尿が見られます。進行すると体重減少、食欲不振、下痢や嘔吐を繰り返すようになります。さらに重篤化すると意識障害や、昏睡状態に陥り、死に至ることもあります。

  2. 上皮小体(副甲状腺)機能亢進症

     上皮小体(副甲状腺)ホルモンが過剰に分泌される病気です。血中のカルシウム値が上昇することで、尿中のカルシウム排泄量が増え、同時に水も一緒に出ていくため多尿となります。脱水症状を引き起こし、水を多く飲むようになります。多量のカルシウムが尿とともに排出されるため骨病変、尿路結石症といった症状も現われることがあります。

  3. 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

     副腎から分泌される「コルチゾール」というホルモンが慢性的に過剰に分泌されることによって引き起こされ、初期症状として多飲・多尿が見られます。ほかにも異常な食欲、脱毛や皮膚の黒ずみや石灰化(白くて固いかさぶた)、呼吸が早くなる、お腹が膨れてくる、足腰が弱くなって散歩に行きたがらない、などの症状があります。 
     犬のクッシング症候群について、詳しくは愛犬の元気がないのは歳のせい?実はクッシング症候群かも!をご覧ください。

  4. 慢性腎臓病

     老化や腫瘍、遺伝などが原因となり腎臓の機能が徐々に低下する病気です。多飲・多尿のほかに食欲不振、体重減少、嘔吐、脱水、便秘などで、症状が進むと重度の貧血が見られます。
     犬の腎臓病について、詳しくは「犬の慢性腎臓病は早期発見が大切!獣医師に聞く症状や治療法」をご覧ください。

  5. そのほか多飲・多尿の症状が表れる病気

     そのほかにも、多飲・多尿の症状が表れる病気には様々なものがあります。

    ・副腎皮質機能低下症(アジソン病)
    ・子宮蓄膿症
    ・尿崩症
    ・肝臓病 など

     多飲・多尿が表れる病気には、完治が難しく、一生涯付き合っていかなくてはならないものが多いです。なかには緊急性の高い病気もあるため、多飲・多尿が疑われる時は、早めに動物病院で相談しましょう。

犬が多飲・多尿になる病気以外の原因とは?

生活環境の変化が多飲・多尿の原因になることもあります。

生活環境の変化が多飲・多尿の原因になることもあります。

 病気以外にも、犬が多飲・多尿の症状を表すことがあります。

  1. フードの変化

     水分量が多いウェットフードからドライフードに切り替えると、水を飲む量が増えます。塩分を多く含むフードは喉が渇き、多飲・多尿になり心臓や腎臓への負担も大きくなります。

  2. 心因性(ストレス)

     極度の緊張やストレスを愛犬が感じると体内で抗ストレスホルモンが分泌されます。このホルモンの働きで愛犬は水を頻繁に飲み、尿の量が増えます。身の回りの騒音やお留守番の時間が延びたなど、愛犬の生活環境に変化がないかチェックしましょう。

  3. 下痢・嘔吐

     下痢や嘔吐によって体内の水分が大量に失われ、体が脱水状態となり喉が渇きます。下痢や嘔吐時は水分だけでなく、体内のミネラルも失われるため、水と一緒にミネラル成分も補給する必要があります。多飲・多尿を伴う下痢や嘔吐を引き起こしている場合、愛犬の体に負荷がかかっている状態が考えられるため、早めに動物病院を受診しましょう。

  4. 薬や中毒によるもの

     利尿剤やステロイド剤など、薬が原因になり多飲・多尿になることもあります。また、アルコールの誤飲やビタミンDの過剰摂取による中毒などでも多飲・多尿は起こります。

愛犬の毎日の行動や仕草を観察することが大事!

子犬の場合、1日のおしっこの回数が成犬に比べて、多くなります。

子犬の場合、1日のおしっこの回数が成犬に比べて、多くなります。

 水を飲む量や排尿は愛犬の健康状態を知るためのバロメーター。その変化に気づくことができるのは飼い主さんです。飲む水や尿の量だけではなく、いつもと色やにおいが違わないかなど、日頃からよく愛犬を観察し、愛犬の行動や仕草に違和感があれば、動物病院で診察を受けましょう。

白神久輝先生
監修 /
白神 久輝 先生
 埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主さんにもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
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