2019/10/29

犬の慢性腎臓病は早期発見が大切!獣医師に聞く症状や治療法

2019/10/29

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 シニア犬には決して珍しい病気ではない、犬の腎臓病。疲れやすくなったり排尿量に変化があったりしたら、それは腎臓病の症状かもしれません。腎臓病の種類や症状、治療法や注意すべきことについて、獣医師の三宅先生にうかがいました。

犬の腎臓病はどんな病気?

—犬の腎臓病は、どのような病気ですか?

 犬に限りませんが、腎臓病は大きく分けて「急性腎臓病」と「慢性腎臓病」があります。
 急性腎臓病は、何らかの原因で急激に腎臓が働かなくなりますが、治療によって原因が改善されれば、腎臓の機能が回復する余地はあります。
 慢性腎臓病は、ゆっくりと進行します。治療をしても腎臓の機能は戻りません。

—急性腎臓病の原因には、何があるのでしょうか?

 人間の薬品や不凍液など腎毒性のあるものを食べてしまった、大量の出血や血圧の急激な低下、また強い脱水などによって腎臓に血液供給ができない、結石による尿路閉塞や事故による膀胱破裂などで体外に排尿できない、などです。

—慢性腎臓病になる原因は、何でしょうか?

 腎臓に障害を起こす様々な疾患が原因となりますが、多くは加齢と関係が深いです。猫ほどではありませんが、犬も7歳以上のシニア犬になると発症率が上がりますので、決して珍しい病気ではありません。

シニア犬になると、腎臓病の発症率は高くなります。

シニア犬になると、腎臓病の発症率は高くなります。

—腎臓病になると、どのような症状が出ますか?

 急性腎臓病であれば、急激にぐったりして嘔吐したり、それにあわせて排尿がなかったりすることもあります。
 慢性腎臓病は、体重が少しずつ減少する、徐々に毛艶が悪くなる、水をたくさん飲んで色の薄い尿をたくさんする、吐き気がある、散歩に行きたがらないなど活動的でなくなる、といった症状が表れます。
 慢性腎臓病の場合、初期段階では飼い主さんはほとんど気づきません。腎臓の機能が50%以上失われて初めて、目に見える症状が出てきます。

—慢性腎臓病を早期発見するためには、どうすれば良いのでしょうか。

 定期的な検査が必要です。血液検査と合わせて尿検査も実施すると良いでしょう。
 通常は年に1回、シニアになったら年2回の検査が望ましいですが、病院に連れて行くのが大変なのであれば、病院で尿検査キットを出してもらい、尿を採取してそれを持っていく形でも検査は可能です。

腎臓病の治療方法は?

—腎臓病の治療は、どのような治療を行うのでしょうか?

 急性腎臓病の治療は、それぞれの原因に応じて異なります。ぐったりしていたり、気になる症状が見られたりしたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
 慢性腎臓病の場合は、腎臓の機能を回復させることはできないので、出ている症状を抑えて進行をゆるやかにすることが目的の治療になります。
 吐き気が出ていれば吐き気止めや、尿で排出できない毒素を便で排出させるための活性炭を配合した薬、脱水になっていたら補液の点滴などを行います。
 腎臓病用の療法食を処方されることもあります。

脱水症状が出ている場合は、補液を点滴します。

脱水症状が出ている場合は、補液を点滴します。

—移植などの、外科的治療はないのでしょうか?

 移植手術ができないわけではないのですが、ドナー犬の問題や手術ができる動物病院が限られていることなどから、現実的ではありません。
 また透析も可能ではありますが、やはり行っている病院は限定的です。

—腎臓は2つありますが、両方同時に悪くなるのでしょうか?

 片方だけ悪くなることも、両方が同時に、同じように悪くなることもあります。

慢性腎臓病の予防方法は?

脱定期的な検査による早期発見・早期治療が大切です。

定期的な検査による早期発見・早期治療が大切です。

—慢性腎臓病の予防方法はありますか?

 残念ながら予防方法はありません。定期的な検査で早期発見をし、できるだけ早く治療を開始して、進行をゆるやかにすることしかできません。

—慢性腎臓病だと診断された後、日常生活で注意すべきことはありますか?

 療法食が指導された場合は、それを食べさせてください。
 疲れやすくなっていて散歩に行きたがらない犬もいるため、無理に運動させる必要はありませんが、散歩が好きな犬の場合は、気分転換に軽く外に出るのもいいでしょう。
 慢性腎臓病は、初期段階では発見しにくい病気ですが、定期的な尿検査で早期発見も可能です。早めに治療を開始すれば、あまり日常生活に影響なく過ごすこともできるので、シニア期以降は特に定期的な検査を心がけてください。

三宅亜希先生
お話しいただいた先生 /
三宅 亜希 先生
日本で唯一の会員制電話どうぶつ病院「アニクリ24」院長。都内の動物病院にて小動物臨床に従事したのち現職。繊細なコミュニケーション力を生かし、小動物医療の現場で毎日寄せられている様々な相談に応じている。

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