2019/03/19

アメリカ発祥!小児医療に寄り添うファシリティドッグ

2019/03/19

アメリカ発祥!小児医療に寄り添うファシリティドッグ

 みなさんはファシリティドッグをご存知ですか?今回は、小児医療の現場で子どもたちに笑顔と生きる力を与えるファシリティドッグをご紹介します。

ファシリティドッグとは?

 動物との触れ合いを通して、闘病生活での楽しみや心の支えになる仕事をする犬をファシリティドッグといいます。
 日本での歴史はまだ浅く、2010年に静岡県立こども病院で初めて導入されており、ファシリティドッグとのスキンシップは、子どもを元気にできることが研究によりわかっています。

 似た役割の犬として、「セラピードッグ」という言葉も耳にすることがありますが、何が違うのでしょうか。病院での触れ合いを通した心のケアを担っているという面では同じですが、実は大きな違いがいくつかあります。

 「セラピードッグ」が各地の施設を訪問するのに対して、「ファシリティドッグ」は1つの施設に常駐しています。長い期間同じ患者さんと一緒にいるので、病院内のいたるところに付き添い、様々な場面で仕事を任されます。

 また「セラピードッグ」ともう1つ大きな違いとなるのが、どのようにして資格を得ることができるのかという点です。「ファシリティドッグ」は、子犬の時点で厳選された上、2年間の専門施設でのトレーニングを経て、ようやく資格を得ることができます。「セラピードッグ」の場合は、性格での判断により、成犬になってからでも資格を得ることができるので、「ファシリティドッグ」と比べるとややハードルが低いのが特徴です。

ファシリティドッグは子犬の頃からトレーニングをしています。

ファシリティドッグは子犬の頃からトレーニングをしています。

ファシリティドッグと「ハンドラー」

 ファシリティドッグは、必ず「ハンドラー」と呼ばれる人と一緒に活動をします。「ハンドラー」は指導役としてはもちろん、仕事が終わると飼い主として生活を共にしています。ファシリティドッグ同様、この「ハンドラー」も誰でもなれるというわけではありません。日本では、以下のような条件を採用しています。

  1. 看護師資格

    病院勤務なので、関わる全ての人に安心感を与えることができ、専門性の高い現場でも力を発揮できる。

  2. 専門施設でのトレーニング

    犬と同じで「ハンドラー」も専門施設でのトレーニングが必要です。

 以上2つを満たしていることが、日本でハンドラーになるために必要となります。
 同じ患者さんと長く関わるので、容態によって様々な場所にも付き添い、時にはクリーンルームへの入室をすることもあります。闘病の大きな支えとなるために、「ハンドラー」にも高い専門性が求められています。

 今後、病院以外の施設でファシリティドッグが採用された場合は、違う職種でもハンドラーになることが可能になってくるかもしれません。

「ハンドラー」とファシリティドッグはいつでも一緒です。

「ハンドラー」とファシリティドッグはいつでも一緒です。

ファシリティドッグのいる病院を増やすために

 日本でファシリティドッグを導入している病院は、2院のみと少ないのが現状です。大きく分けると2つの問題が普及するための障害になっていると考えられます。

  1. 資金の問題

    1頭にかかる費用は年間で約1,000万円(ハンドラーの人件費や犬の管理費など)かかります。問い合わせをして導入を検討する病院があっても、この資金を捻出する余裕のある病院はあまり多くありません。

  2. ファシリティドッグの育成の問題

    現在はアメリカで育成されたファシリティドッグが、日本で活躍しています。これは育てる施設がアメリカの方が圧倒的に良く、日本に同じような施設を作るのが難しいことが原因です。例えばハワイにある施設は、1度に管理する犬を6頭に制限し、山の中を自由に走り回るなど、ストレスなく育成されます。このような環境で育つことにより、どんな状況でも人に愛情を持って接することができるようになると考えられています。生命に関わる仕事をする以上、環境が整わないまま、「必要だから」と育成をすることはできません。

 しかし、アメリカでは補助犬育成の団体、CCIが2017年に1年間で68頭を育成しています。(*)育成されるということは、導入する施設もあるということになります。資金の問題はどのようにクリアされているのでしょうか。

【出典】
* CCIホームページより
https://www.cci.org/assistance-dogs/Our-Dogs/facility-dogs.html

  1. 制度の違い

    国民皆保険ではないこと、病院自体が基金を持っているところもあり、資金に余裕のある病院が多くある。

  2. 環境の違い

    「ハンドラー」の育成も進んでおり、病院スタッフが兼務することで人件費が抑えられる。

  3. 文化の違い

    寄付の文化が日本よりも浸透しているので、寄付によっても資金が集まってくる。

 以上のように、制度・環境・文化とすぐに真似のできる内容ではありませんが、日本に合ったやり方を見つけていく必要があります。

 また、普及のために私たち自身ができることは、周りの人たちに口コミやSNSで発信するなど、まずは「知ってもらうこと」です。できる範囲で寄付をするのもよいでしょう。1人の力ではなく、たくさんの人に知ってもらい、実際に行動していく。そんな支援の輪を広げていくことが重要です。

まずはファシリティドッグの存在を知ってもらうことが重要です。

まずはファシリティドッグの存在を知ってもらうことが重要です。

 日本で普及するためにはまだまだ障害も多いですが、患者さんを支えるファシリティドッグが、病院に「いて当たり前」になると良いですね。

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