2020/06/11

【獣医師監修】犬に薬を飲ませたい!上手に飲ませるコツ

2020/06/11

【獣医師監修】犬に薬を飲ませたい!上手に飲ませるコツ

 動物病院で処方された薬を愛犬が嫌がることなく、簡単に服用してくれたら飼い主さんは助かりますよね。実際は「フードに混ぜたけれど、薬だけ避けた」「シロップはひとなめしたけれど、残してしまう」など愛犬に薬を飲ませるうえでの悩みは多いはず。
 今回は、薬の形状別でみる注意点や上手に薬を飲ませるコツをご紹介します。

犬の薬にはどんな形状のものがあるの?

薬の形状が異なれば、飲ませ方のコツも違います。

薬の形状が異なれば、飲ませ方のコツも違います。

 薬は用途や目的ごとに、もっとも効果が発揮できる形状で作られています。犬の薬には、大きく分けて「錠剤」「カプセル剤」「散剤(顆粒剤)」「液剤(シロップ剤)」の4種類があります。

  1. 錠剤

     薬剤を圧縮し、固めたものです。薬の苦い味を隠すために糖でコーティングしたものや、体内で段階的に溶けるように工夫されたものもあります。

  2. カプセル剤

     溶け出す時間の調整が必要な粉剤や液剤を、ゼラチンの容器(カプセル)に入れたものです。カプセルのゼラチンが食道の粘膜に付着しないように、服薬後は必ず水を飲ませましょう。

  3. 散剤・顆粒剤

     聞きなれた言葉では「粉薬」と呼ばれることが多いです。飲みやすいように、薬を粉状や粒状にしたものです。量の調整がしやすいため、体重の軽い犬への処方や複数の薬を調剤する際に使われます。

  4. 液剤・シロップ剤

     精製水などに薬の成分を溶かし作られ、もっとも効き目が早い剤形です。シロップ剤は甘みがつけてあるため、そのまま飲ませても犬が嫌がりにくいという特徴があります。

飲ませる前に知っておきたい!犬に薬を飲ませる時の注意点

警戒してしまう場合には、薬を見せないようにして近づきましょう。

警戒してしまう場合には、薬を見せないようにして近づきましょう。

 薬を無理やり愛犬の口の中に押し込んだり、カプセルの中に入っている薬を取り出してはいけません。犬に薬を飲ませる時は、どのようなことに注意すればよいのか、犬に薬を飲ませる時の5つの注意点について解説します。

  1. 食べ物との飲み合わせ

     薬と食べ物には飲み合わせの相性があります。病気によって与えてはいけない食べ物もあるため、あらかじめ動物病院で相談しましょう。

  2. 誤嚥(ごえん)

     誤嚥とは、食道から胃へ入るはずのものが、間違って気管や肺へ入ることです。犬が誤嚥を起こすと、咳やくしゃみなどを繰り返したり、肺炎や呼吸困難になることもあります。吐き出す力が弱い老犬は特に注意が必要なため、薬を飲ませる時は十分注意しましょう。

  3. 錠剤やカプセル剤の服薬後

     錠剤やカプセル剤は口内や食道に張り付くことがありますので、服用後は必ず水を飲ませましょう。食道に薬が張り付いた場合、食道炎を引き起こす可能性があります。

  4. 薬の形状は勝手に変えない

     錠剤を砕いたり、カプセルの中身だけを与えたりと、勝手に薬の形状を変えてはいけません。薬の形状には、それぞれの意味があります。形を変えてしまうことで、効き目を低下させてしまうことがあります。そのままの形状では飲ませることが難しい場合には、必ず動物病院で相談しましょう。

  5. リラックスした状態で行う

     薬を飲ませる前に飼い主さんが緊張していると、犬も不安な気持ちになります。愛犬に薬を飲ませる時はできるだけリラックスし、普段通りの態度で接するよう心がけましょう。

愛犬の負担を減らし、上手に薬を飲ませるコツ

愛犬を驚かせないように、優しく声をかけながら、飲ませましょう。

愛犬を驚かせないように、優しく声をかけながら、飲ませましょう。

 薬の形状ごとに分けて解説します。

【錠剤・カプセルを簡単に飲ませるコツ】

  • 食べ物と一緒に与える
     チーズ、サツマイモ、納豆、ヨーグルト、少量の水で溶いたスキムミルクなど、犬の嗜好性が高いものがおすすめです。初めから薬を入れてしまうと、警戒される可能性があるため、まずは薬抜きで与えるのがコツです。
  • 投薬補助おやつを利用する
     投薬補助おやつとは、中心に穴が開いていたり、粘土のように薬を包み込める商品のことです。指でつまむだけで簡単に形を変えられるため、剤形を問わず様々な薬の服薬に使うことができます。
  • 服薬ゼリーやオブラートを使う
     薬をペット用の服薬ゼリーやオブラートに包むと、犬が薬のニオイに気付きにくくなります。オブラートの場合は、周りを軽く水でぬらすと喉越しが良くなるため、水にくぐらせてから与えましょう。
     ※市販されている子供用のゼリー状オブラートなども少量であれば、問題ないでしょう。

【散薬・液剤(シロップ)の簡単に飲ませるコツ】

  • ウェットフードに混ぜて与える
     一食分よりも少ない量のウェットフードを用意し、薬を混ぜます。ただし、混ぜる量には注意してください。1度に大量の薬を混ぜると愛犬が気づいてしまうこともあるため、少しずつ混ぜるのがポイントです。
  • とろみのつけたスープに混ぜる
     片栗粉でとろみをつけた鶏肉や野菜を煮たスープに、薬を混ぜて飲ませます。スープの温度に気を付けましょう。舌を火傷する可能性があるため、ある程度冷ましてから飲ませてください。
  • ペースト状にし、上あごや歯茎に塗り付ける
     水やはちみつ、コンデンスミルクなどで薬を溶いたものを、犬の上あごや歯茎に塗り付けましょう。苦い薬を溶く時は、味の濃いものや甘みのあるものを使うとよいでしょう。

愛犬が薬をうまく飲んでくれない時の対処法

唇の端から、犬の飲み方にあわせて、少しずつ注入してあげましょう。

唇の端から、犬の飲み方にあわせて、少しずつ注入してあげましょう。

 どうしても服薬がうまくいかない時には、直接薬を飲ませる必要があります。服薬後は必ず褒めてご褒美をあげるなど、愛犬が次回の服薬を嫌がらないような工夫も大切です。

  1. 錠剤・カプセル剤

     犬歯の後ろ辺りを持って上あごを開き、もう片方の手でなるべく奥に薬を入れます。口を閉じて鼻先を上に向け、喉をさすると薬を飲みこんでくれます。投薬後はシリンジやスポイトなどで水を飲ませ、食道に薬が残らないようにしましょう。

  2. 散剤・液剤

     薬入りのシリンジやスポイトを犬歯の後ろの隙間に差し込み、服薬します。口を閉じた状態で鼻先をあげ、犬が薬を飲み込むまで待ちましょう。
    ※粉剤は水で溶いておきましょう

愛犬の服薬がうまくいかない時は獣医師に相談しよう

普段から歯磨きなどで、口の周りを触られることに慣れさせておくことも大事です。

普段から歯磨きなどで、口の周りを触られることに慣れさせておくことも大事です。

 飼い主さんが苦労をする愛犬の服薬ですが、上手な飲ませ方を知ることで、愛犬への負担も軽くなります。嫌がる愛犬に無理やり薬を飲ませようとするとトラウマや怪我に繋がるため、決して無理はしないこと。うまくいかない時は早めに動物病院へ相談し、薬の飲ませ方についてアドバイスをもらいましょう。

白神久輝先生
監修 /
白神 久輝 先生
 埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主さんにもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
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