2015/08/24

脊髄空洞症と闘いながら生きる小さなトイプードルと家族の絆

2015/08/24

脊髄空洞症と闘いながら生きる小さなトイプードルと家族の絆

 おはぎは5歳のトイプードルの女の子。江原さんご家族と暮らしています。
生まれつき身体が小さく、もう5歳なのにいつも赤ちゃんと間違えられてしまうおはぎですが、実は大きな病気、手術を乗り越え、ご家族の心の支えになっているたくましいわんちゃんなのです。

名前も見た目もおはぎ!

江原さん作成のおはぎフォトブックは愛情たっぷり

江原さん作成のおはぎフォトブックは愛情たっぷり

 おはぎと江原さんの出会いはブリーダーさんからの紹介がきっかけでした。

 ブリーダーさんから、生まれたばかりの赤ちゃんの写真を受け取った江原さん。
 そこに写っていたのは、小さくて、黒くてまんまるなトイプードルの赤ちゃん。写真を見るなり、「まるで和菓子のおはぎみたい!」と笑ってしまったそうです。
 そう、これが「おはぎ」という名前の由来。

 一目見ておはぎを気に入った江原さんは、ご家族と話し合い、江原家へ迎え入れることにしました。

 わんちゃんは、一度の出産で数匹の赤ちゃんを生むことが一般的ですが、おはぎはたった1匹で生まれ、育児放棄されてしまったという悲しい過去があります。
 その後、別のお母さんに面倒を見てもらってたおはぎにとって、江原家は初めて心から安らげる家族。きっと、幸せを感じていたことでしょう。

「おはぎとの思い出をたくさん作りたい」そんな気持ちで一緒に楽しんだドッグヨガ

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小さな身体には重すぎる病気

 おはぎが2歳になったある日のこと。

 江原さんが、何気なくおはぎの足に触れるとビクッと嫌がったそうです。おかしいと思い、もう一方の足も触ってみるとやっぱり痛がるように鳴くおはぎ。
 「トゲでも刺さっているのかも」と、翌日、江原さんは病院へ連れて行きました。
 しかし、トゲが刺さっているなどの外傷は見当たらず…。
 その後、診断されたのは「脊髄空洞症」という重い病でした。

重い病と診断されたおはぎ…

重い病と診断されたおはぎ…

 脊髄空洞症とは、脳や脊髄を流れる髄液の流通障害が原因で、全身に神経障害が起こり、完治することはない病気と言われています。
 お医者さんからは「病気の進行によっては外科治療もあり得ますが、まずは内科治療をはじめましょう」と言われたそうです。
 重い病と診断され、江原さんは不安を隠しきれませんでしたが、内科治療で長生きしている子もいると知り、おはぎとともにがんばろう!と決意。内科治療をスタートさせました。

 そして、内科治療を始めてから1年後のこと…
 ついに脊髄空洞症の発作が起きてしまったのです。

 江原さんが帰宅し、おはぎのいるゲージの扉を開けると、なぜかその反対側から外に出ようしたおはぎ。
 「おはぎ、そこからは出られないわよ。こっちよ。」と声をかけても、おはぎは、扉ではなくゲージの壁や網にぶつかるばかり。
 動揺した江原さんは「どうしちゃったの!しっかりして!」と涙を流しながら、何度も何度も声をかけたそうです。

 脳圧が上がってしまうせいで平衡感覚が狂い、さらに、めまいや吐き気もひどくなっていたのです。もはや座って休むこともさえもできず、ただただ苦しみに耐えるしかありませんでした。

江原さんのお膝の上が一番落ち着くみたい

江原さんのお膝の上が一番落ち着くみたい

 江原さんは当時をこう振り返ります。

「発作が起きた夜、神経障害の影響で徘徊を続けてしまうので、それを防ぐためにもずっと抱きしめてました。おはぎは、吐くものもないのに繰り返してしまう吐き気のせいで一晩中眠れず…見ているわたしまで辛くなりました。」

おはぎの生きようとする思いが奇跡を起こす…

 すぐに大学病院の先生を紹介してもらうことができ、外科的な手術を行えば助かるかもしれないということになったのですが、手術の予約は数日先。
 その間にも病状は悪化し、水さえも飲まなくなりました。
 せめて脳圧だけでも下げるため、病院で点滴を打ってもらうことになったのですが、病院に預けているあいだ、江原さんは「おはぎには、もう会えないかもしれない」という思いが止まらず、涙を抑えることができなかったそうです。

 そして、点滴が終わった頃、江原さんの元に病院から連絡がありました。
 覚悟を決めた江原さんでしたが、なんと、おはぎ自らごはんを食べようとするほどに意識が回復した、という知らせだったのです!
 これにはお医者さんも驚いており、「自分でごはんを食べることができれば、ひょっとしたら望みはあるかもしれない」と。
 おはぎは、きっとご家族のためにも懸命に生きようとしていたのでしょう。

 しかし、手術前に行ったMRIの結果、脳炎を併発していることも判明しました。
 たとえ脊髄空洞症の手術が成功しても、脳炎の影響でそう長くは生きられないかもしれないので「手術はどうしますか?」と先生から相談があったそうです。
 それでも江原さんは手術を決断しました。

 脊髄空洞症の手術は、おはぎの身体にカテーテルを入れるという大手術でしたが、無事に成功しました。
 しかし、併発していた脳炎の原因は分からず、進行を止めることはできないと言われたのです。

強く結ばれたご家族とおはぎの絆

 手術後、おはぎはステロイドを使った治療を続け、その他にも、気功、パワーストーン、酵素など脳炎に効くと言われるものはなんでも試しました。
 江原さんの親心、そして、おはぎ自身の生きようとする思い、ふたつの思いが重なって、おはぎは見る見るうちに快方へと向かっていたのです。
 手術から2か月後に行ったMRIの検査の結果を見て、お医者さんはまたしても驚かされました。
 「これ以上、良くなることはない」と思われていたおはぎの脳炎が明らかに改善していたのですから。

ドッグランで遊べるほど快復したおはぎ

ドッグランで遊べるほど快復したおはぎ

 発作の後遺症は残ると言われ、原因不明の脳炎で長くは生きられないと言われたおはぎが、今では、お薬を飲み続けながらも、元気にお家の中を走り回っています。

 「おはぎ、本当は今も辛いはずなんです。でも、わたしがお別れの心の準備ができるまでは生きようとしてくれているんじゃないかな。『ママのために頑張るよ』って言われているような気がするんです。」と、おはぎの背中を優しく撫でながら、江原さんは笑います。
 病を乗り越え、ご家族に希望を与えてくれるおはぎ。でも、おはぎが頑張れるのはご家族の強い絆があったからこそ。理屈では説明できない、まさに奇跡がここにはあったのです。

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