2020/08/06

【獣医師が解説】愛犬・愛猫の熱中症対策と応急処置

2020/08/06

【獣医師が解説】愛犬・愛猫の熱中症対策と応急処置

 犬や猫は室内であれば熱中症になることはないのでしょうか?犬、猫の飼い主さんを対象とした「ペットの熱中症に関するアンケート」の結果をもとに、正しい対処法について獣医師の三宅亜希先生からアドバイスをいただきました。

熱中症になりやすいのはお散歩中の犬、室内飼いの猫に多い傾向です!

 熱中症になりやすい時期は夏場の6~8月が最も多く、全体の9割以上を占めていました。ペットが熱中症になってしまった、と回答されたのは全体の2割強で、猫に比べ、犬の方が熱中症になりやすいという結果になりました。やはり、犬の方がお散歩などで屋外に出る機会が多いからでしょうね。
 とはいえ、室内飼いの猫だって油断大敵です!「家の中で普通に過ごしている時」や、「家の中でお留守番中」に熱中症になってしまった猫が大半でした。

あなたのペットが熱中症になってしまったのはどんな状況でしたか?

言葉では伝えられないから…普段と違うサインに気付いて!

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熱中症を見分けるためには…。

 では、ペットの熱中症を見分けるには、どうしたらいいのでしょう?
 熱中症は、気温や温度が高い日、日差しが強い日、また過度の運動などにより、ペットがふらふらする、ぐったりする、息苦しそうにしている、よだれが多く出る、体が痙攣する、食欲低下、水を飲まない、発熱、下痢、嘔吐などの症状が見られます。
 なかでも、特によくある症状は、「ぐったりしていた」「息苦しそう」「食欲低下」「ふらふらしていた」「普段よりもよだれが多く出ていた」といった症状です。このような様子や行動はペットからの熱中症のサインとして参考にしてくださいね。

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三宅 亜希先生のコメント

 熱中症は、過度の熱に対して体が熱を下げることができなくなる状態で、41℃を超える高熱になり、多臓器機能障害が引き起こされることもあります。気温や湿度が高い場所での過度の運動、車内に閉じ込められていた、水分補給のできない環境にいた、などが原因になることが多いです。

応急処置はするけれど、その先は…?

 いざ、ご自身のペットが熱中症になってしまったら…そんな時、飼い主さまはどのような対処をされたのでしょうか?
 応急処置として多いのは、犬・猫ともに「水分を補給」「涼しい場所で休ませる」「冷却材で体を冷やした」という結果でした。
 しかし、ペットが熱中症になった際、動物病院で診療をしたのは4割未満でした。ご自身の応急処置だけで済ませていらっしゃる方が多いようです。

あなたのペットが熱中症になったとき、応急的にどのような対処をしましたか?

あなたのペットが熱中症になってしまった際、
動物病院などで診療しましたか?

三宅 亜希先生のコメント
 対処法として涼しい場所に移動させる、もしくは室内を涼しくする、全身や首、脇、後肢の付け根を冷やすなどが挙げられます。水を飲ませる方が多く、非常に有効な方法ですが、呼びかけへの反応が鈍いような場合は誤飲のおそれがあるので無理に飲ませない方がよいでしょう。
 また、動物病院を受診された飼い主さまが4割未満とのことですが、初めに書いたように、熱中症は多臓器機能障害を引き起こすおそれがあるため、様子が落ち着いたように見えても臓器がダメージを受けていて翌日急変することもあります。そのため、必ず動物病院を受診し、必要であれば点滴等の治療をしてもらいましょう。

熱中症の症状が見られたら、室内を涼しくしたり身体の付け根を冷やしましょう。

熱中症の症状が見られたら、室内を涼しくしたり身体の付け根を冷やしましょう。

 さらに、特に注意が必要な犬、猫の特徴を教えてもらいました。

三宅 亜希先生のコメント
 短頭種、幼齢犬、高齢犬、心肺疾患や咽頭の疾患を患っている、太っている、被毛が濃い犬は熱中症のリスクが高まるためよりいっそうの注意が必要です。猫は犬にくらべると熱中症の件数は少ないですが、犬同様の室内環境で過ごさせることが一番の予防になります。早めに対策をして安心で快適な夏を過ごしましょう。


 夏休みに向けて、ペットとのお出かけを計画している飼い主さまもいらっしゃるはず。ぜひ、熱中症の症状や対処法、予防方法を理解していただき、お出かけを楽しんでくださいね。
 なお、ペットとのお出かけ中に起りやすいアクシデントなどをまとめた記事はこちらからご覧いただけます。

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※Q.1~Q.4の調査結果は、「ペットの健康管理と熱中症に関する実態調査」を基にしています。

●調査概要
[調査方法]インターネット調査
[調査期間]2015年6月5日~7日
[調査会社]株式会社タイムカレント
[調査エリア]全国 (日本国内)
[回答者条件1]犬もしくは猫を飼育している方
[回答者条件2]飼育しているペットに熱中症の症状を感じた、心配になったことがある方
[有効回答数]855名 (男性:60.4%、女性:39.6%)
[回答者年齢]20代:20.1%、30代:19.8%、40代:20.1%、50代:19.6%、60代:20.4%
[飼育しているペット]犬:49.9%、猫:50.1%

三宅亜希先生
お話しいただいた先生 /
三宅 亜希 先生
日本で唯一の会員制電話どうぶつ病院「アニクリ24」院長。都内の動物病院にて小動物臨床に従事したのち現職。繊細なコミュニケーション力を生かし、小動物医療の現場で毎日寄せられている様々な相談に応じている。

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